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创作的故事|刻画记忆的玻璃艺术秘密

2024.06.28
访谈

萩原睦

透明性と柔軟な加工性によって多種多様な進化を遂げてきたマテリアル「ガラス」。古代から現代に至るまで、人類の歴史と美の探求において欠かせない存在であり、美術史においてもその美しさと可塑性により多くの芸術家たちの手によって、新たな表現の地平を切り拓いてきた。

東京藝術大学大学院でガラス制作を学ぶ 萩原睦(はぎわら・むつみ)は、人類が古くから扱ってきたガラスを通して ”記憶を留める” 行為を追求しているアーティスト。移り変わる空のような、色の移ろいが魅力的なガラス作品を制作している。透明な結晶の中に潜む光や色、形が織りなす幻想的な萩原の作品世界を、インタビューとともにご紹介する。


萩原睦の創作テーマ:記憶を留める

Mutsumi Hagiwara

一日の始まりを告げる朝焼け、帰り路の空を覆う茜色、寄せては返す潮騒の色。儚さを感じさせる繊細な色使いが、萩原のガラス作品の大きな特徴である。制作において、作品に記憶を留めることを追求している萩原は、その手段として「ガラス」「写真」「ことば」という素材を、そして形として「器」を用いている。


ー「記憶を留める」ことを作品の制作テーマにしている理由は?

萩原:私にとって、「過去の記憶」は「今」を生きる上での支えであり、生きる源です。だけど、目に見えない記憶や感情は、時とともに色褪せてしまいます。大自然から受けた言葉にできない感動や、日々の小さな感動を写真や言葉として記録することで、辛い時にそれを見返すと、お守りのように私を支えてくれるんです。小さな記憶が大きな励ましとなり、私の土台を支える力となってくれます。

記憶の対象には二度と触れることはできませんが、記憶の中で感じた温もりを、ガラスのフォルムに落とし込み、好きだった色彩を再現することで、半永久的な記憶としてガラスの中に存在させることができます。

作品を見たときに記憶が呼び起こされ、ため息が出るような作品にしたい。それが「今」を生きる私にとって「未来」へ向かうための最大の励ましになるので、記憶をテーマに制作を続けています。


ガラス作品の形とその意味:萩原睦のアプローチ

Mutsumi Hagiwara

フードプレートや花瓶、蓋物など、用途のある作品も制作している萩原睦。近年、アートと工芸の領域がますます曖昧になっているなかで、萩原は自分の世界を表現する形として「器」を選んだ。

ー 形としての「器」にはどんな意味がありますか?

萩原:器の形状を用いているのは、「器」という形が用途を持つ形であり、内側に何かが溜まる感じが好きだからです。器形の輪郭で空間が切り取られ、外の世界と内側の世界が隔てられて、時間や記憶を内包する形に親和性を感じます。


「写真」「ことば」を用いた、多角的な芸術表現

旅に出たときや日常の中で感動した光景に出会うと、萩原はその場面をフィルムカメラで撮影する。そして自らの心象を言葉で記録し、 ガラス作品に落とし込む。軽井沢ニューアートミュージアムでの展覧会『かけがえのないもの 地球・風景・環境』では、ガラス作品以外のメディアでの表現を発表している。


ー ガラスだけでなく、「写真」「ことば」も作品としている理由は?

萩原:それぞれが異なる方法で記憶や感情を表現し、共有する手段だからです。

「写真」は、内にこもりがちな自分の視線を客観的に見ることができる手段です。何に感動し、何を美しいと感じたのかを、視覚的に他者と共有する方法です。自分の視点を他者と共有することで、新たな視点や理解が生まれます。

「ことば」は、空気、温度、匂いなど、視覚以外の感覚を文字情報で伝えることができます。鑑賞者に自由な想像を促して、より深いレベルでの共感や理解を引き出すことができます。言葉の力を借りることで、視覚的な情報だけでは伝えきれない感覚を補完し、より豊かな表現が可能になるのではないでしょうか。


記憶を閉じ込めるかのような制作方法

Mutsumi Hagiwara

電気炉にて焼成する様子

萩原睦のガラス作品は、「パートドヴェール」という技法を用いて制作されている。パートドヴェールとは、フランス語で “ガラスの練り粉”という意味で、ガラス粉と糊を混ぜたものを型に詰めて焼成し形作るガラス技法の一つである。粉状のガラスを使用することで、ガラスの粒と粒の間に細かい泡が閉じ込められ、光を乱反射することで、不透明な質感が生まれるという。

萩原は仕上げに磨きの作業を行うことで、スリガラスのような質感に仕上げる。ベールがかかったような揺らめく美しい色のグラデーションが、記憶の淡さを連想させる。


化学反応がもたらす色彩のグラデーション

Mutsumi Hagiwara

萩原作品で最も鑑賞者の目を惹くのは、儚くも美しいその色のグラデーションだろう。この美しい色彩は、ガラスの粉に金属の粉を混ぜることで作られる。高温の窯で溶かされたガラスと金属が化学反応を起こすことで、色が発色する。どの金属を使用するか、どの温度で溶かすかによって色合いが変化するのだ。

しかしそれは、僅かな差であっても異なる変化をもたらす、繊細な化学反応である。完成形の質感とグラデーションの色の変化を試行錯誤し、何度もの失敗が、独自の色彩と質感を持つ現在の作品へと繋がっている。

Mutsumi Hagiwara

窯出し後に石膏を外す様子。ガラスに工具が強く当たると割れてしまうため、細心の注意が必要とされる。

ー作品制作で最も好きな瞬間、反対に困難を感じる瞬間はどんな時ですか?

萩原:石膏を割る時ですね。成功しているかどうかは石膏を割ってみないとわかりません。だからこそ、どんな工程も困難の連続です。何度も繰り返し行ってきた工程であっても、少しの妥協が作品に現れるので、妥協をそのままにして前に進めません。失敗することの方が多いので、自分が納得できる作品ができた時は本当に嬉しいです。


ガラスと作家の関係性:萩原睦の視点

ー最後にガラスと萩原さんの作品との関係について教えてください。

萩原:「ガラスは記憶の中の光を形にする手段」と考えています。私にとって、触れられないものを触れられる具象的なものにする手段がガラスなんです。ガラス素材は、常温では「非晶質」と呼ばれる物体であり、また半永久的に存在する物質です。そのため、自身の記憶との親和性を感じ、記憶を保存する表現手段にピッタリだと感じています。

Mutsumi Hagiwara

萩原睦

記憶に留めておきたい出来事や景色に遭うと、手にしたフィルムカメラのシャッターを切るという萩原睦。二度と出逢うことのない景色が、カメラのレンズと作家の記憶という2つのフィルターを通して、光が乱反射するガラスに刻みつけられていくのだ。

ホワイトストーンギャラリー軽井沢では、萩原睦 個展『地球の色 – color of the earth –』を、2024年6月29日から8月11日の期間において開催。作家が掬いとった地球の色を、ぜひ作品を通してご覧ください。

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