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ファビアン・ヴェルシェールへのインタビュー|作品に現れる文学性と神秘性

2022.07.29
香港

制作中のファビアン・ヴェルシェール

香港でフランス文化を紹介するための大規模イベント「Le French May」。ホワイトストーン・ギャラリー H Queen'sは、第30回「ル・フレンチ・メイ」の共同プロジェクトとして、フランス人アーティストのクレマン・ドゥニとファビアン・ヴェルシェール、日本人アーティスの塩沢かれんによるグループ展「Contrasting Confluences」を開催した。

今回はその中の1人、 ファビアン・ヴェルシェールをご紹介する。制作におけるこだわりや、インスピレーションの源、今後の活動についてインタビュー。ファビアン・ヴェルシェールの作品にはおとぎ話のような不思議な世界観や神秘性が溢れているが、ファビアン自身が自然や文学をいかに大切にしているかが分かるインタビューとなっている。

展示風景より

―制作における核やこだわりとなるものは何ですか?

私の作品は地理に関する探求心から生み出されるものであり、領域、空間、道を非言語で探索しています。特定の風景をこだわって探しているわけではなく、境界や構造のない幻想世界の形や、内部性について探求しています。それは、自然に出現する道を信じ、実体の概念に帰るということです。

―あなたのミューズについて教えてください。

詩は製造されるものではなく、風が吹くかのように届き、世界の物語を語りかけてくれます。 私にインスピレーションを与えるのは他でもなく、普遍的であるために必要だと私が考えるものからの変換であると思うのです。

芸術家の死は、作品それ自体ほど私に影響を与えませんが、私たちが取り組んでいる文章は影響を受けます。神話を神の手の及ばないものにし、ミューズを一般的なものにするカリグラフィーを、私は強く信じています。

制作中のファビアン・ヴェルシェール。作品の横には多くの絵の具が用意されている。

―最もこだわっている道具(または素材)は何ですか?

私は主に韓国ブランドの「SHINHAN」という水彩絵具と韓国伝統絵具を使用しています。ブランドのアンバサダーも3年間やっています。 鮮やかな色合いで、特にオペラピンクは素晴らしいです。

私はモノの有機的な側面に注目するのが好きです。それは、遊牧民の旅のように水とともに現れては消えていく作品であり、野生の精神です。

―日常のルーティーンについて教えてください。

私の人生は経験に満ちています。制作をしないときは、スタジオで自分の言葉に従ってアートワークと向き合っています。

制作中の作品

―インスピレーションが浮かばないときやスランプに陥ったとき、どのように乗り越えますか?

何も考えずに、周りを見回して自分の神話を作ります。日常とはおとぎ話です。うまくいけば、新しい日、別のストーリーで私は息を吹き返すでしょう。 そうすることで私は困難を乗り越えるのです。

―今後の活動について教えてください。

私の未来は、並外れた出会いによって育まれてきた過去の継承に過ぎません。 これからは、ドン・キホーテや不思議の国のアリスのような有名な文学作品について、率直に表現して、再訪したいと思っています。

ファビアン・ヴェルシェール《Mike Mickey》2021, 80.0 × 60.3cm, 紙・水彩絵具

―最後に、次回の展覧会ではどのようなことをしたいですか?もしくはすでに進行中ですか?

今年はいくつかのプロジェクトがあります。2024年のパリオリンピック村のシーリング制作や、パリのBRUGIER RIGAILギャラリーでの展示、ソウルで2つの展示と、コンゴのキンシャサ州でのウォールペインティングが予定されています。

制作中のファビアン・ヴェルシェール

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