ARTICLES
ヤン・ヨンリャンの作品がオランダの博物館に所蔵
2023.04.27
ART NEWS
ヤン・ヨンリャン《Phantom Landscape III - Triptych》2007, シート 紙 ジークレープリント, 200 x 50 cm より
中国出身の現代アーティスト、ヤン・ヨンリャンによる作品が、ライデン国立民族学博物館（オランダ）内にあるMuseum Volkenkundeで、2023年3月14日から5月7日まで特別展示されている。
写真の分野で現代美術をリードする、中国出身のヤン・ヨンリャン。宋代（960-1279）を頂点とする中国の伝統的な書画を学んだ彼は、山水画にデジタル技法を取り入れることで知られるアーティストだ。
今回ライデン国立民族学博物館が購入したのは、2007年に制作された《Phantom Landscape III - Triptych》。山並みが川や霞とともに幻想的に浮かび上がる様子は古代の山水画を彷彿とさせるが、その岩肌は高層ビルや鉄塔、クレーン、道路などの現代を象徴する事物で構成されている。
ヤン・ヨンリャン《Phantom Landscape III - Triptych》2007, シート 紙 ジークレープリント, 200 x 50 cm より
同作品を所蔵したライデン国立民族学博物館のWayne Modest館長は、「アーティストであるヤン・ヨンリャンの作品を購入できたことは光栄なことです。この作品はシンプルでありながら、中国の山水画に深く言及するなど、私たちの現在のコレクションと強いつながりをもっています。ヤン・ヨンリャンの技法へのこだわり、そして伝統的な技法の探求や導入も、私たちにとって重要な要素です」と、作品の重要性を語った。（オランダ語でのコメントから翻訳）
無制限な都市化と自然破壊への警鐘を暗示するかのようなヤン・ヨンリャンの作品《Phantom Landscape III - Triptych》は、2023年5月7日まで展示されている。
展示情報
期間: 2023年3月14日〜5月7日
場所: ライデン国立民族学博物館, Museum Volkenkunde
住所: Steenstraat 1, 2312 BS Leiden, Netherlands.
最新の情報は美術館の公式サイトでご確認ください。
National Museum of Ethnology
ARTIST
1980年上海に生まれ、ヤン・ヨンリャンは2003年に中国美術学院を卒業（専攻はビジュアル・コミュニケーション）。2005年より現代美術における写真・絵画・ヴィデオ・インスタレーションなど様々なメディウムを駆使した実験的な作品制作に着手。ヤン・ヨンリャンは、古代の東洋の美学とぶんじん文学者たちの信条を現代言語とデジタル技術を組み合わせることで、伝統と現代との接点を開拓する。ヤン・ヨンリャンの作品は、都市と変化し続ける景観という文脈で展開される、歴史・神話・社会文化から抽出した物語を高次的に拡張 （メタ・ナラティヴ）するものである。ヤンは建築的なイメージをブラシのストロークとして用い、宗王朝の風景画を忠実になぞった詳細なディテールをもつ岩肌の描写で知られている。都市部の発展は生活に利便さをもたらす一方で、多くのものを封じ込めてしまった。同様に、中国で何世紀にもわたって発展してきた文化的伝統は威厳を保つ一方で、絶えず停滞の危機にさらされている。古代の中国人たちは壮大な自然への賛歌として風景を描いたものだが、ヤンの作品は現代のリアリティへの危機的な再考を我々に迫る。メディアとコンテンツとの関連においては、強靭なポスト・モダニズム的感性が伝統的な美学と結びつく。ヤンの作品は大英博物館やメトロポリタン美術館など、世界の名だたる公的機関に収蔵されている。作家は現在、上海とニューヨークで活動を続けている。
RELATED ARTICLES
-
Yang Yongliang: Constructing Urban Landscapes with Images, Retrieving Physical Perception with Painting Brushes | Part2
2025.03.18
INTERVIEW -
Yang Yongliang: Constructing Urban Landscapes with Images, Retrieving Physical Perception with Painting Brushes | Part1
2025.02.28
INTERVIEW -
Yang Yongliang's works: Fuse the Traditional and the Contemporary, on special display at Art Central
2023.03.22
ART NEWS
FEATURES
