屋久島の深く豊かな森に単独で分け入ってインスピレーションを得た二川は、自然の中に身を置き、雨の湿り気や風の速さを五感で感じて環境と調和させる。彼の繊細な筆致は、人間と自然との微妙なダンスをとらえ、岩絵具の輝く光沢は絵画に精神性と神秘性を吹き込む。強烈なリアリズムと、自然に内在する計り知れないスピリチュアルなエッセンスの表現のバランスを取りながら、二川は現実を光り輝くスピリチュアルなパノラマへと昇華させる。


二川和之:With Nature
Beijing
2023.12.09 – 2024.01.13
二川和之は伝統的な日本画を得意とし、初期には河合玉堂(1873-1957)をはじめとする著名な日本画家の影響を受け、人間と自然との関係に焦点を当てた作品を制作してきました。日本画の長い歴史と技法を受け継ぎながら、西洋的な光と影の変化の奥深さ、遠近感やグラデーションの感覚を融合させ、独自の超越的な気質を持った作品を生み出している。


”調和と共存 "という言葉は、私たち人間が数え切れないほど口にしてきた言葉だ。
沈黙の観察者である自然は、人間の行動を静かに見守っている。
今回の個展では、人間と自然の調和と共存の物語が、一点一点の絵画に隠されている。
持続可能な未来への旅に出よう。


近年、二川は風景作品に人物のシルエットを巧みに織り込んでいる。草花に囲まれ、草原やジャングルに迷い込み、自然の儚い通行人となる。その描写は、フィルム写真の二重露光効果に似ており、二次元の作品世界に豊かで多次元的な奥行きを与えている。作品に見入っていると、現実の境界線が曖昧になり、鑑賞者と登場人物との間に徐々に融合が起こる。この瞬間、人は場所の感覚を失い、深い静寂にただ息を潜めて反応し、小さな人物の遠い視線に出会い、捉えられた微妙な感情を味わう。ジャングルと小川に囲まれた静かなサンクチュアリを開拓し、自然との調和のとれた共存に浸っていただきたい。
ABOUT

二川和之
二川和之
1954年香川県高松市生まれ。1976年金沢美術工芸大学日本画科を卒業、1978年東京藝術大学大学院を修了したのち30代半ばから風景画に絞って作品を発表する。現実感に満ちた生々しい空間を描いた作品の数々は、ロシアをはじめ海外の展覧会でも高く評価されている。伝統的な日本画の技法を継承しつつ、対象の確固たる存在感を岩絵の具の重ね塗りで細心に描き出し、静かな風景の中で深さを極めるべく、遠近感や質感そして物の存在感を偽りなく表現した作品にはリアリズムを越えてさらに美しく輝く心象風景へと昇華する。近年は人物画の制作にも注力しており、同一モデルを秒間隔でそれぞれ描き、ひとつの平面作品に落とし込む「秒差」シリーズは日本画の伝統技法と現代感覚が共存する写実形態として注目度を高めている。


2023.12.09 – 2024.01.13
BEIJING
Tel: +86 10 59920796
Opening Hours: 11:00 - 18:00
Closed: 日曜、月曜