TSUYOSHI MAEKAWA
具体美術協会第二世代のアーティスト、前川強(1936年大阪生まれ)は、そのキャリアを通じて麻布を代表的なメディウムとして使用してきた。前川の作品は抽象表現主義の傾向が強く、その驚くべき素材使いで知られている。ミシンと手を使って麻や麻布のキャンバスに意図的にシワやテクスチャーをつけ、ねじったり、切ったり、ちぎったり、変形させたりして、突起や空洞の奥行きを作り出すという実験的な手法は、彫刻と絵画の境界を曖昧にする前代未聞の作品となった。彼の当時としては革新的な方法論は、物質性と抽象概念の探求を促している。潮の満ち引きのようなシンプルで力強い線と、色鮮やかな色調は、身体、精神、芸術行為を結びつける前例のない芸術的対話を生み出している。