

諸子百家:江上越 × JY
HK H Queen’s 7-8/F
2023.03.17 - 04.06
コロナ禍で誰もが社会からの孤立を経験する中、江上は読書の旅に出ました。書に耽る旅は、近代文学における巨匠たちのポートレート制作を江上に促し、GINZA SIXで大規模個展「星の時間」を開催しました。また、近代日本の実業家・渋沢栄一の著書『論語とそろばん』に深い感銘を受けたことで、江上の関心は、現代から中国の春秋・戦国時代へと移っていきます。混沌とした時代に生まれた百家の思想と哲学が、当時と変わらず、現代に生きる私たちにも深い示唆を与えていると考えたからです。諸子百家の哲学的洞察を通して現代社会への考察を深めつつ、文献を研究し続けた江上は、古代中国の哲学者の姿を描き始めたのです。本展では、江上を象徴する肖像画シリーズを展観。大胆で穏やかな筆致と、鮮やかで力強い色彩の構成が、議論百出の本質を捉えます。また、諸子百家の哲学により深く入り込めるよう、アーティストのJYを招き、古典的な名言の書画作品も併せて展示。肖像画を引き金に、絵と書が共鳴・共振し、思考の新しい次元に到達することで、新たな芸術の形を提示します。
2人のアーティストの作品が完璧に調和することで、諸子百家シリーズは完成します。彼らは創作の過程で、肖像画と文章、イメージと言語の関係を再考します。2000年以上の時を超えて、古代と現在、東洋と西洋をつなぎ、そして油絵と書道の対話という形で、古き時代の栄光を再形成します。



強い意志を持たない者は知恵を出せず、自分の言葉を信じない者は結果を出せない。
墨子

澄み渡った鏡に映るように、心を清らかにし、物事を客観的に捉えることが重要である。
韓非子

知恵ある人は水に喜びを見出し
徳の高い人は山に喜びを見出す。
孔子 01



自然こそが真の法である。
荀子

困窮の中にあってはただ自分を正しい方向に導き、
成功すれば周りの人々のために善を行う。
孟子

形のないものを見、音のないものを聴く。
鬼谷子

大きな四角形には隅がなく、
大きな器は完成が遅く、
大きな音はかえって聞こえづらく、
大きなものは形として見えない。
老子 02



胡蝶の夢
荘子

軍事は国家の命運を決する重大事である。
孫子


ABOUT

江上越
江上越
1994 年千葉県生まれ、日本、中国、ヨーロッパを中心に活躍し、展覧会にて作品完売を続け ている今話題の若手作家。ドイツ HFG(The Karlsruhe University of Arts and Design)、北京・ 中央美術学院へ留学。豊富な海外体験からコミュニケーションの可能性を再考し、言語の起 源を含むさまざまな学問領域から探求している。とりわけ、言葉による社会の再考に傾注。彼 女の「プロジェクト」は、そのサイトスペシフィックな現地調査と文献資料で国際的にも高い評 価を得ている。直近では「In to the light... Etsu Egami solo show」(ドイツ)、「Dialogue beyond 400 years」(ロンドン)、「This is not a Mis-hearing game」(北京)、「対話 4000 年―江上越個展」 (千葉市芸術文化新人賞受賞プロジェクト)などの個展を開催。自身の海外経験からコミュニ ケーションをテーマに一貫した制作活動が評価され、千葉市美術館学芸員の畑井恵氏の推 薦により若手作家の登竜門と言われるVOCA 展 2020(上野の森美術館)に出展し会場でも注目を集めた。現在最も注目されている若手現代アーティストの一人。
VOCA 展では全国の美術館学芸員、ジャーナリスト、研究者などに 40 才以下の若手作家の 推薦を依頼し、その作家が平面作品の新作を出品するという方式により、全国各地から未知 の優れた才能を紹介している。そこで待望される作家はユニークであり、いま・そこで制作し ていることの必然性的な成果を具現している者、ねらいが明確で国際的に通用する力強い表 現力を持つ者。VOCA1994 第一回展には村上隆、1997 年には奈良美智が推薦されるなど、 今後の日本美術界を築きあげる作家を輩出している。
ABOUT

JY
JY
JYは来日後「浸透」という統計物理学で博士号を取得、その成果をあらためて芸術活動に活かすべく、東京芸術大学の絹谷幸二研究室にて研究を重ね、新しい画風を作り出した異才の作家である。 その成果は高く評価され、1992年埼玉県立近代美術館の企画展「アジア現代美術の旅」に選ばれ、アジア現代美術の代表的作家として、アメリカ、ヨーロッパ、中国、日本などで国際的に活躍中である。また、「フラクタル」の研究により、現代数学で東洋美術のメカニズムを解析し、史上初めて東洋美術の数学基礎を築いた「中国画次元」を著作した。
「極端に物理を追求すれば、高い精神性に到達する」という氏の言葉のように、彼自身の思いを「豹」に託した本個展の作品は、現代社会或いは現代美術に対する一種の逆襲でもある。現実とバーチャルとが交錯する空間の中で自由自在に旅する彼は、文明とは何か、野性とは何か、「豹」の眼で人間の本質を見つめようとしている。


2023.0317 - 04.06
HONG KONG / H Queen’s
Tel: +852 2523 8001
Fax: +852 2523 8005
Opening Hours: 11:00 - 19:00
Closed: 日曜、月曜