スニク・クウォン:Today

Seoul

2024.06.15 - 07.21

本展は、作家の30年以上にわたる芸術的な旅を網羅する内容であり、点・線・面の造形要素を探求した抽象連作《無我》や《積・硏_隙間》、さらに瓦を主材としたインスタレーション作品まで、彼の作品世界全般を紹介するものである。

《無我》シリーズは、点の要素が強調された作品である。キャンバスに様々な色調の絵の具で小さな円を描き、その上に細かい砂と絵の具を混ぜて再度積み重ねることで独特の質感を創出し、平面性と立体性を融合させている。仏教哲学の「永遠かつ独立した実体としての自我は存在しない」という「無我」の概念は、スニク・クウォン作家にとって、キャンバスと一体となり自己を空にして作品に没頭することを意味する。今回の展覧会では、新たな大作を通じて点の無限の拡張性と変奏を示し、多様な色面の調和を通じて作品の空間感と深みを増している。

《積・硏_隙間》シリーズは、線と面が際立ち、過去、現在、未来の時間性を統合した複合的な構造が特徴である。「積」は絵の具を層状に積み重ねる過程を意味し、作家が積み上げてきた時間と経験、そして過去を象徴する。「隙間」はこれらの絵の具層の間に生じた空間であり、作家はこの隙間にグラファイトを擦り込みながら磨き上げる「硏」の過程を経て、暗くも輝く独特の質感を表現する。これにより、過去と未来をつなぐ現在の重要性を強調し、絶え間ない時間の流れの中で現在の瞬間を悟ろうとするメッセージを伝えている。

2018年から始まった作家の瓦インスタレーション作品は、瓦にグラファイトを擦り込んで形態と質感を強調する点が特徴である。作家にとって瓦は心の鏡であり、自己を表すもう一つの要素を意味する。

グラファイトを擦り込み、繰り返し塗り重ねる技法は、作家の誠実さと職人精神を如実に示す内的修練の過程である。作家は、粗く見えるグラファイトの物性を長時間の辛抱強い作業の末に輝く新たな物性へと生まれ変わらせ、長年の修養を経て悟った「今日」に対する自身の哲学を表現している。

ABOUT

スニク・クウォン:Today
2024.06.15 - 07.21

Seoul

70 Sowol-ro, Yongsan-ku, Seoul, Korea
+822 318 1012
+822 318 1013
Opening Hours: 11:00 - 19:00
Closed: Monday
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