

坪田昌之: Unknown Memory
この度、ホワイトストーンギャラリー軽井沢では、坪田昌之個展『Unknown Memory』を開催いたします。‘Unknown memory’=「未知の記憶」が指し示すのは、誰しも幼少時に山や川などで感じたことのある、「ぞくっとするような気配」のことです。
古代寺院など木造建築に興味を持ったことをきっかけに木を使った彫刻作品を制作し続けていた坪田は、あるとき真っ赤に着色された自身の作品にこの「気配」を感じとります。以来、この感覚は制作のひとつの主題となったのです。
そもそも、人種や宗教、言語、経済などで分類されている人類に坪田は着目。それぞれの人種の網膜の違いにより、同じ色彩でも各々に違って見えるのではないか。自身の作品によって引き起こされる「未知の領域」という気配や感覚は、各々にどのように響くのか—これが今展を構成するテーマとなります。
個性的な色彩、削られてもなお呼吸し続ける木という生きた素材、独特のヴァイブレーションを放つフォルム、そこから生まれる陰影など、魅力が尽きない坪田作品。今展では初発表のインスタレーションやドローイングと併せて展覧いたします。ぜひご高覧くださいますようご案内申し上げます。
Karuizawa Gallery
Tel: +81 (0)267 46 8691
Fax: +81 (0)267 46 8692
10:00 - 17:00 (10月 - 6月),10:00 - 18:00 (7月 - 9月)
Closed: 月曜
ARTIST

タイトな構築性のうえに揺らぐ色彩、手触り、匂いたつようなムーヴメント―坪田昌之の作品は、視点によって柔硬さまざまな表情を見せながら像を結んでゆく。緻密さと遊戯性がスタイリッシュに結託し、空間を攪拌。木や石、天然顔料など、風土と密接した天然素材は、互いに境界をぼかし、浸食し合う。新たな生命を得たこれらの素材は、鑑賞者の五感に訴え、忘れかけていた記憶や感応の領域と共振する。この共振こそコミュニケーションの原点であり、時空を超えた深い理解として拡張してゆく。坪田芸術の真骨頂である。
1976年生まれ。大阪芸術大学にて彫刻を専攻、修士号を取得。