Iwasa 鈴奈:ドローイング・形態生成 ー drawing ・ Morphogenesis
Karuizawa Gallery 3
2024.09.14 - 10.06
ー鹿のあたまから生えた植物に花が咲き、風景が出現するまでー
初めは一本の線でした。ペンのつまずき、こけた筆、滴るしずく、紙面のにじみ、それらを拒まず偶発的な現象を生かし、受容することで「像・かたち」は生成します。
線の痕跡は蝶や風景、木や川や鉱石の模様などにもみえ、それらが連なり構成要素となり、あらたな「像」や物語が紡ぎ出されます。未知の「像」は伏線が絡みあった交差場面のように象徴的な意味合いを持ち、そこにミクロ的かつマクロ的視野のスケール自在の重層的な世界が見えることがあるのです。
彼らと遭遇することは楽しく、まるで制御し難い生命体をみるようです。「血管」にみられるフラクタル構造の分岐的線による形態は、「枝」「川」「葉脈」「羽」「根」「角」とも通じ、私にとっていわば「生命のかたち」と言えます。
絵画の中で鹿の角は、水を運ぶ植物の茎に転じ、葉脈となり風景となっていきます。言葉遊びや回文は「かみ」という音から、紙、神、髪、上、守、噛みなど様々なイメージを思 い浮かべる事で成り立っています。
「あ!」は驚き、「ああ」は認知と需要、「あめ」となると飴、雨、天を想います。五十音の一音一音、さらにそれらの組み合わせでさらなるイメージが生まれます。
その言葉一つ一つに新たな精が宿るように、絵画は一つ一つの像、その組み合わせや関係性で成り立ち、それぞれが命を宿しているように感じるのです。
「草木ことごとく能くものをいう」というアニミズムの世界観です。
そして私も、視覚による線と形態の連鎖遊びをしているのかもしれません。
そうやって蝶が蝶となるように、鳥が鳥となるように、絵画は自ずから成るのです。
Karuizawa Gallery
Tel: +81 (0)267 46 8691
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10:00 - 17:00 (10月 - 6月),10:00 - 18:00 (7月 - 9月)
Closed: 月曜
ARTIST
作家略歴
2002 東京芸術大学美術学部卒業
2004 The Ruskin school of Art 修士修了 UK
2006 福岡女学院大学特別講師
2011 東京芸術大学大学院美術研究科博士課程修了
2015 Guanlan Original Printmaking Base 客員芸術家
主な展示
2009 The 2nd Bangkok Triennale International Print & Drawing Exhibition(タイ)
2009 松戸市戸定歴史館・戸定アートプロジェクト(千葉)
2009 大地の芸術祭・越後つまりトリエンナーレ(新潟)
2013 「The 8th International Ink Art Biennial of Shenzhen」(深セン)
2014 在韓日本大使館広報文化院(ソウル)
2015 、2016年 Art Fair Asia Fukuoka (福岡)
2020 タイ国立マハサラカム大学美術館(マハサラカム)
2023 One Art Taipei (台北)
主な作品収蔵
多摩美術大学美術館(東京)
シルパコン大学美術館(タイ)
深セン版画美術館 Guanlan printmaking museum (中国)等