ヤン・ヨンリャン : Imagined Landscape

Taipei

2022.08.13 - 10.01

INTRODUCTION

ホワイトストーンギャラリー台北では、中国人アーティストのヤン・ヨンリャン(楊泳梁)による個展『Imagined Landscape(設色山水)』を開催いたします。


2005年より現代美術における写真・絵画・ヴィデオ・インスタレーションなど様々なメディウムを駆使した実験的な作品制作に着手。ヤン・ヨンリャンは、古代の東洋の美学とぶんじん文学者たちの信条を現代言語とデジタル技術を組み合わせることで、伝統と現代との接点を開拓しています。


本展では、2019 年から 2021 年にかけて制作された「Landscape after the Old Masters(仿古山水)」や「Imagined Landscape(設色山水)」など 14 点以上の作品が展示される他、2つの4K映像作品「Five Dragons(五龍図)」「Glows in the Night(極夜花火)」をご覧いただけます。

YANG YONGLIANG

設色山水

コロナ禍においてヤン・ヨンリャンが構想を練ってきた写真作品シリーズです。

2020年から2021年にかけてのロックダウンで世界が急変していたとき、ニューヨークに滞在していたヤン・ヨンリャンは上海という場所について改めて考えました。世界中の人々に影響を与えたパンデミックが、どのような変化を私たちにもたらしたのか正しく説明することはできないかもしれませんが、誰しもが何らかの形でこの変化に対応しています。10年以上にわたり、彼は常に自身の作品に安らぎを見つけ出そうとしてきました。まるでユートピアで暮らす仙人のように、創作は彼にとって聖域でした。しかし今、ヤン・ヨンリャンが自分の作品を鑑賞すると、受け入れられないほどの重みで、かつての安らぎには戻れないような感覚を覚えるのです。だからこそ彼は、何か新しく魅力的で愉快な色彩豊かな物を想像することにしました。

不安定な世界の中でも希望を持って前に進み続ける人々に捧げるシリーズです。

Doe 幼鹿

2021、ジークレープリント、紙

110.0 × 110.0 cm

※部分拡大写真(下)

Horse 白馬

2021、ジークレープリント、紙

90.0 x 130.0 cm

※部分拡大写真(下)

Tiger 伏虎

2021、ジークレープリント、紙

110.0 × 110.0 cm

※部分拡大写真(下)

Goose 大雁

2021、ジークレープリント、紙

90.0 x 130.0 cm

※部分拡大写真(下)

仿古山水

2019年に制作されたシリーズ「仿古山水」。宋代の画家・郭熙、范寛、李唐などの名画を参考にしています。宋代の傑作は古代の自然への感謝を描写していますが、ヤン・ヨンリャンはポストモダニズムと人工世界のリアルなドキュメント写真を通して現代の風景を再定義します。

Intimate Scenery of Rivers and Mountains 江山小景圖 2/5 2019、ウルトラジークレープリント、150.0 x 450.0 cm

五龍図

中国の伝統文化では、龍は海を見守る水の神でしたが、現代においては、龍は縁起物として誤った認識で広まっているか、アジア文化の象徴として一般化されてしまっています。「五龍図」では、ヤン・ヨンリャンは歴史的文脈に立ち返り、自然の中で生きる、予測不可能な運命を持つ5体の龍の共通の物語を表現しました。南宋の巨匠・陳容の最も有名な龍に触発されたこの作品は、東アジア美術史の古典的テーマである龍に敬意を示すものとなっています。

五龍図 2020, 4K video, 8分54秒

水図

「水図」は、南宋時代の画家馬遠(1160-1225)によって最初に描かれました。正確な制作年は不明ですが、12世紀後半または13世紀初頭のものであると推定されています。絹本に描かれた水の美しさを巧みに表現した12本の水墨画は、現在中国北京の故宮博物院に所蔵されています。

そして現代のヤン・ヨンリャンが描く「水図」では、映像技術を駆使して歴史的な絵画の重要な側面を慎重に再現すると同時に、水を静的なものから動的なアニメーションに再解釈しました。それぞれの作品の構成は、うねる霧と露出した岩、波打つ海の波等、古代中国の山水画の歴史と密接につながっており、馬遠の作品と共鳴しています。しかし、21 世紀における視点から、また別の解釈も与えます。ヤン・ヨンリャンは作品の中で、海面上昇と飲料水の供給不足について懸念を表明していますが、この時代において水資源は間違いなく世界的な問題であり、おそらくこれまでになく喫緊の課題でしょう。ヤン・ヨンリャンの巧みな技法により、 「水図」は、不安感や焦燥感を微妙に作り出し、意図的につくられた現実との距離感が感じ取れます。この独特な雰囲気が、作品中にヤン・ヨンリャンの歴史と現代的な場所の交差点を生み出すのです。

水景 No.1 2/5 2018, HD Video, 8分

極夜花火

「極夜花火」は、広東、香港、マカオの夜景を組み合わせた2019年の映像作品で、華麗な花火と空の輝きを見事に表現しています。良くも悪くも、2019年は中国人にとって印象的な年でした。現代において街が祝賀ムードになったとき、環境を汚染する光は縁起のよい物とされてしまいます。この作品は、都市化、商業化、消費主義によって引き起こされた環境問題を提起し、見る者に過去を再考させ、未来に目を向けてもらうものになっています。

極夜花火 2019, 2-Channel 4K video, 9分30秒

ABOUT

ヤン・ヨンリャン : Imagined Landscape
2022.08.13 - 10.01

台北

1F, No.1, Jihu Rd., Neihu Dist., Taipei City, 114, Taiwan (R.O.C)
Tel: +886 2 8751 1185
Fax: +886 2 8751 1175
Opening Hours: 11:00 - 19:00
Closed: 日曜、月曜、祝祭日
More Info
お困りのことはございませんか?
作家・作品をより詳しく知りたい方はこちら

メールマガジンで最新情報を受け取る

最新のエキシビション情報や会員限定企画をお届けします。