彼の作品では、大空を舞う精悍なワシも、陸に上がった賢いゾウも、大海原で長生きするウミガメも、いずれも優雅なリズムで前進し、踏ん張り、旋回し、人間と動物のアイデンティティの境界を曖昧にしている。最新のシリーズ「円環図」では、曼荼羅、星座、宇宙観、神話など、古代文明が生み出した哲学的思想や概念を取り入れ、"円"をモチーフに構成されている。鮮やかで複雑な色彩パターンと、曼荼羅のトーテム要素の象徴的な配置、東洋の干支のサイクル、月の満ち欠けという自然の宇宙観からインスピレーションを得たこのシリーズは、魅惑的な動物の物語を展開しながら、生命の本質への自己探求を促す。


金丸悠児: Splendid Waltz
Taipei
2024.02.24 – 03.30
1978年神奈川県生まれ。2001年に東京藝術大学を卒業後、アーティスト集団「C-DEPOT」を結成、主宰し、翌年よりソロ・アーティストとしての活動を開始した。 金丸悠児は、日本の伝統的な和紙に麻布や英字新聞の切り抜きをコラージュして板に貼り、アクリル絵具と岩絵具を混ぜた鮮やかで淡い色彩のパターンを反復することで、絵画の質感と立体感を引き出している。 動物や植物、街並みといった日常的な題材を用い、温かみのある親しみやすいイメージを形成する一方で、私たちの日常を彩るイメージやテクスチャーを幾重にも重ね、華やかで多彩な色彩のパレットを構築している。 金丸の作品は、見る者の視線を通して優しくも深遠な魔法を呼び起こし、消えゆく風景、記憶、感情を再構築し、私たちの内なる自己をそっと箱舟の上に住まわせるような、重層的で幻想的な世界へと私たちを導く。
本展では、金丸の代表作である「動物シリーズ」と、近年注目されている「円環図」の2つのシリーズを展示する。




動物は古来より、時に家族や友人として、時に畏怖の対象として人の生活の中に根付き、言わば想いを投影する器として、私たちの心の隙間を埋めてきました。見る者の潜在意識とつながり、対話し、共感する者として、近すぎず遠すぎない、目に見えない優しい距離感を作品を通して表現したい


動物と人間、そして自然環境とのつながりは永遠の絆であると金丸は考える。金丸の絵画は、自然物の観察を通して、人間の感情を運ぶ器としての動物を描き出し、人々の心象風景を視覚化していく。金丸が創り出す幻想的な世界では、生きとし生けるものすべてが、時間と記憶の流れの中で、一曲一曲華麗なワルツを踊っている。


ABOUT

金丸悠児
金丸悠児
2003年東京芸術大学美術学部デザイン科卒業。大藪雅孝と中島千波という日本画の二大巨匠に薫陶を受ける。麻布や英字新聞の断片、意図的なひび割れなどが混在するユニークなマチエール、重層的に塗り重ねられた鮮烈かつ柔らかな色彩美は独自の境地を拓く。幼い頃に過ごした中東を彷彿とさせる乾いた空気感、不可思議な生物や街並みは、異郷を感じさせながらもノスタルジックな世界へと観る者をいざなう。社会におけるアートの役割を常に意識し、アーティスト集団C-Depotを設立、中心メンバーとしても活躍している。国際アートフェアにも多数出展、とりわけアジア圏では絶大なる人気を誇る。


2024.02.24 – 03.30
TAIPEI
Tel: +886 2 8751 1185
Fax: +886 2 8751 1175
Opening Hours: 11:00 - 19:00
Closed: 日曜、月曜、祝祭日