デビー・レダ: Make a wish
Ginza New Gallery
2023.05.19 - 06.10
INTRODUCTION
平面性と大胆な色遣いを特徴とするデビ―・レダの作品では、子どもへと変容をとげた小さな怪獣の、天使のようでありながら茶目っ気たっぷりなその容姿が際だつ。レダの作品は子ども時代を理想化したものが多いが、それは子どもの遊び心に満ちた学習法や観察力に魅せられているためである。感情の動きにフォーカスしつつ、作家は記憶と遊戯性と通じ、無垢な子ども時代を保つための方法を探る。漫画や絵本の挿絵といった従来の表現から美的エッセンスを抽出し、その解釈と記憶を鑑賞者と共有する。
今展『Make a wish』にあたり、レダは日本文化に触発された価値観「かわいい」をその色彩パレットのなかへふんだんに採り入れる。鑑賞者は異なる対象物とそれに付随する意味のなかで、興味深い文化と伝統の交換を発見することになるだろう。実際、文脈の組み替えの妙は、レダ芸術の最良の部分のひとつである。『I wish you…. LOVE ME or FOLLOW ME』や、果てしない物質リストが搭載された「吹き出し」が目を惹く『the ones a child might ask for』といった作品では、ほぼ直截的な願望が表現される。
デビ―・レダがその作品のなかで維持する楽観性や積極性について、作家自身、次のように力強く肯定する。「願いごとをしながら、それが叶う機会を待っていても成就しない。夢見ることは無限大。そしてあなたが本当に心から何かを欲し、愛と献身をもって努力すれば、あなたの願いは叶う」、と。
「強く願って努力すればそれは必ず手に入る」―人々は子どものように、こういった言葉や願い、同じ行為を繰り返し、飽くことなくその意味を考え続けている。おそらく我々は「幸福」の正体を分かることは一切ないであろうが、それでも幸福を欲し、幸福を感じる瞬間というものに自覚的だ。これこそ私が鑑賞者に向けて窓を開く地点であり、ひとつの指令のように言葉を共有する。人々が複雑な想いや回想をそこに重ねやすくするために。
ABOUT
2023.05.19 - 06.10
銀座新館
Tel: +81 (0)3 3574 6161
Fax: +81 (0)3 3574 9430
Opening Hours: 11:00 - 19:00
Closed: 日曜、月曜