高橋宣光
高橋宣光は多摩美術大学卒業後、ニューヨーク・マンハッタンへと渡り、グラフィックデザイナーとして活動。その後、アーティストへ転身。高橋の描く人物像はアクリルやエアブラシ、レジンなど多用し、色彩感覚に溢れるリズミカルな作風で人々を魅了する。なぜ「顔」に傾注するかについて、高橋は人間の感覚のすべての「インプットとアウトプット」はほぼ顔を経由することを挙げる。作品を介し、複雑化する現代の感性とコミュニケーションの在り方を問う。
2024.09.06 - 09.28
今展では、アクリルを主体とする美人画で知られる高橋宣光(1966~・東京)、岩絵の具でモノトーンを基調とする川島優(1988~・静岡)、油絵具・アクリル・岩絵の具などによるミクスド・メディアの辻本健輝(1989~・長崎)、といった世代もバックグラウンドも技法も異なる三人のアーティストを「肖像画」というテーマから俯瞰、それぞれの視点や個性を浮き彫りにしつつもどのような交感や共鳴が生まれるのかを探る。
高橋宣光は多摩美術大学卒業後、ニューヨーク・マンハッタンへと渡り、グラフィックデザイナーとして活動。その後、アーティストへ転身。高橋の描く人物像はアクリルやエアブラシ、レジンなど多用し、色彩感覚に溢れるリズミカルな作風で人々を魅了する。なぜ「顔」に傾注するかについて、高橋は人間の感覚のすべての「インプットとアウトプット」はほぼ顔を経由することを挙げる。作品を介し、複雑化する現代の感性とコミュニケーションの在り方を問う。
川島優は愛知県立芸術大学の博士課程を修了。在学中の2014年損保ジャパン美術賞FACE展にてグランプリを受賞したことで一躍注目を集める。モノトーン、一見大理石を思わせるクールなテクスチュア、静的な表情をたたえる女性像は、特定のモデルを持たず、複数の女性の表情を作家自身のフィルターを通して具現化したもの。その謎めいた雰囲気には、寄る辺ない現代を生きてゆくことへの不安が内在する。
辻本健輝は故郷の画塾で絵画の基礎を学んだあと、ほぼ独学で油画の研鑽を積み、2007年長崎県展で野口彌太郎賞を最年少で受賞。2013年には昭和会展(日動画廊主催)でも松村謙三賞を受賞、各地のグループ展などで頭角を現す。辻本の主要テーマのひとつは「軌跡」であり、古文書や神話、自然、他者の筆跡などからモチーフとなる動植物を抽出、幻想的かつ蠱惑的な絵肌を創りあげる。若手ながらその成熟した世界観は悠久の時間軸を内包し、岩絵の具など随所に息づくマテリアル遣いとともに生命そのものを感じさせる。
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