GUTAI DICTIONARY

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抽象表現主義

具体はアメリカの抽象表現主義、ヨーロッパのアンフォルメルの運動のフォロアーであり、こういった芸術の一分野であると解釈されていた。
実際にはこれらの芸術は出来上がった作品の形態は似ているが、制作の考え方や成り立ちは全く異なるものであり、同一な傾向としてグルーピングすることは表面上だけしか見ていない浅い解釈である。抽象表現主義はある意味シュルレアリスムの発展であり、無意識の世界を深く探求するもの、オートマティズムの制作を通して人間が制御できないものを作り出し、作品の中に入り込んでしまう世界であり、物語性を強く残して物質性を取り込んでいる。
アンフォルメルは構成主義的な方向性が強く、造形や色彩の冒険でどこまでできるのかを追求する傾向が顕著であり、純粋抽象やその中での動きといった物を発展させるための様々な試みがなされた運動として見ることが出来る。
具体はどうなのかというと「人のまねをしない」という考え方が根底に強くあり、今までにないものをとにかく作るという考えのもと、ルールの無い世界で自由に作られたものであり、抽象表現主義が前世代のシュルレアリスムの継承と発展による芸術運動、アンフォルメルの前世代の否定による新たな世界の構築を進めた芸術活動であるのであれば、具体はそのどちらでもなく、むしろ前世代の無い未開の荒野からの出発であり、他に例を見ない独創的なものであった。

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