

猪熊克芳:推移-Transition
Ginza New Gallery
2023.03.10 - 04.01

INTRODUCTION
静謐さを深くたたえた「イノクマ・ブルー」。確かに「ブルー」には違いないが、それが内包する色彩とフォルムは驚くほど多彩だ。猪熊にとって「フォルム」とは具体的なカタチでも物質でもなく、無尽蔵に拡がる空間の可能性。描くことは、眼に見えるものに忠実に仕えることではなく、時空の狭間に潜む多孔性をあぶり出すこと。
深淵な表層に滲むさまざまな色彩の痕跡、空間をよりリアルに押し拡げる精巧なメディウム遣い、ユニークそのものと言える絵肌は、観る者の心理と溶け合うことで「一期一会」の自在な像を結んでゆく。今展では、デビューから現在まで、作家の色彩とフォルムがどのように交錯し、推移してきたかを追う。さらに、心電図の動きという究極の時間軸を落とし込んだイノクマ・ブルーの新境地も開示。



画面作りの中でもっと自由な表現を加えてもいいんじゃないか、という挑戦の気持ちが生まれつつあります。






私の作品は見ての通り抽象表現ではありますが、空間に関しては一貫して具象的に捉えています。飾った時に作品が壁のようになるのが嫌なんですね。だから、抽象的ではあっても、画面では空間という具象の表現でありたいという想いが強くあります。




ABOUT

猪熊克芳
猪熊克芳
横浜美術学校などで学んだ後、故郷の福島で制作をつづける。画業に専念したのは40歳を超えてからだが、青木繁大賞(1996)、福島県総合美術展準大賞(1998)など立て続けに受賞。
コーヒーパウダーなど独自のマチエールを発展させ、色面を削るなどして実現されるぼかしの情緒は、日本的ながらも極めて現代的なバランス感覚を保つ。とりわけ「猪熊ブルー」とも称されるウルトラマリンブルーの作品は、国内外で高い評価を得ている。2016年ホワイトストーン・ギャラリー香港ハリウッドロード店のオープニングを飾った個展は、その成熟したブルーの迫力で大きな余韻を残す。
2023.03.10 - 04.01
Ginza New Gallery
Tel: +81 (0)3 3574 6161
Fax: +81 (0)3 3574 9430
Opening Hours: 11:00 - 19:00
Closed: 日曜、月曜

