

Real Women - Through the Passage of Time : 加藤美紀 & itabamoe
Ginza New Gallery
2025.04.04 - 04.26
この度、ホワイトストーンギャラリー銀座新館では、加藤美紀とitabamoeの女流作家2人展『Real Women - Through the Passage of Time』を開催致します。
加藤美紀は、着物や日本の伝統文化、歴史的な風景を独自の視点で描く作家である。彼女の作品には、大正・昭和初期のアンティーク着物から着想を得たデザインが施され、女性の自由や美しさが繊細に表現されている。また、日本のアニミズム的な思想を反映し、人や動植物が象徴的な存在として描かれ、あるものは人の姿を借り、またあるものは異なる形へと移ろいながら、生命の尊さや祈りを暗示している。「東京百景」シリーズでは、江戸の浮世絵の手法を現代に継承し、東京の風景を寓話的に描くことで、歴史と未来を繋ぐ物語を紡いでいる。最新の作品群では「時の流れ」をテーマに、風景や歴史の移り変わり、人々の願いが積み重なる情景を表現。彼女の作品は、伝統と現代を融合させることで、日本文化の継承と発展に寄与するとともに、時代とともに変遷してきた女性の生き方を映し出し、その美しさと力強さを讃えている。
itabamoeの作品は、広告業界で培った視覚的表現を現代アートに再構築を試みている。90年代の有機的な若者文化からデジタル時代に移行し、現代社会における「女性像」を新たな視点で描く。イラストレーターとしてコマーシャル的アイコンの一部を担いながら、アートではその枠を超えた表現を目指す。SNSやデジタルメディアで広がる女性像の多様性に着目し、外見にとらわれず、内面から放たれる魅力を強調。ジェンダーや社会的期待に囚われない「新しい美しさ」を表現している。キャンバス上の女性たちは、社会的ステレオタイプに反抗し、自己の内面から放たれる強さと自由を体現。また、視覚言語の明快さとアートにおける曖昧さを織り交ぜ、観る者に多層的な解釈の余地を残す。現代の価値観や美の基準を問い直し、「自分自身の美しさ」を認識するきっかけを提供している。
加藤美紀とitabamoeは、現代女性像の変遷を描きながらも、アプローチが異なる。加藤は日本文化や歴史的背景を取り入れた女性像を表現し、時代と文化に根ざした物語を紡ぐ。一方、itabamoeはデジタル時代の影響を受け、SNSや広告の世界で現れる多様な女性像を探求する。両者の作品は、社会の変化に呼応し、女性の内面を浮き彫りにする点で共通するものがある。ぜひこの機会にそれぞれのRealな女性像の探求とそのパッセージをご高覧くださいませ。
Ginza New Gallery
Tel: +81 (0)3 3574 6161
Fax: +81 (0)3 3574 9430
Opening Hours: 11:00 - 19:00
Closed: 日曜、月曜
オープニングレセプション
*アーティスト在廊
ARTIST

加藤美紀
埼玉県出身。女子美術大学卒業。イラストレーターとしてのキャリアを経て、2012年、天明屋尚のプロデュースによる初個展を契機に、本格的に画業に乗りだす。加藤の描く女性像は古典的な着物とは対照的に、大正・昭和初期の「アンティーク着物」からインスパイアされたモダンで斬新な着物をまとう。その着こなし方もまた、艶やかで自由なスタイルであり、視覚的に美しいだけでなく、自立した女性の生きる姿勢・心意気を表現している。和装デザインには時代ごとの風潮や嗜好が反映されることは言うまでもないが、風景や街景にはさりげなく歴史的建造物などが盛り込まれ、観る者は人物像とともに時代の変遷へも思いを馳せることになる。一方で、叙事詩的な日本の伝統文化がその根底にある加藤の作品は、数々の神話や寓話、アニミズムとも深く連鎖し、転生という生命の循環へと繋がっている。「自然や生命の循環」を探求することを主軸にした独特の時空設定においては、時の流れや新古共存のみならず、日常と非日常、現実と異界、などの「境界」が巧妙に融合されており、一見鮮明で具象的な筆致とは相容れぬ深淵な世界観を形成している。
現在、国内外の個展やグループ展をはじめ、老舗着物メーカーとのコラボレーションで新たな着物を作出するなど、デザイナーとしてもその審美眼を発揮している。
itabamoe
東京を拠点に活動する現代アーティスト。文化服装学院卒業。アパレル・デザイナーとして勤務後、イラストレーターとして広告業界へ転身。2021年よりアーティストとして活動を開始する。
広告業界で培った女性像への多様なアプローチを血肉化・進化させ、イラストレーションを現代アートの主題として再構築。時代とともに変遷する多元的な「いい女」像をリアルタイムで発信してきた。広告では背景として埋もれていた日常の細部がカンヴァスという俎上に載ることで主体の座を得るプロセスは、周縁性(ジェンダー/人種/第三世界)の再定義という20世紀の社会文化史の潮流のみならず、アーティスト自身の来し方ともリンクする。ポップで視覚言語化されたitabamoeの画風は、誰もが主役になれるソーシャル・メディア時代を素直に反映しているように見せかけながら、個々人に内在する信念や生き方を構成する美質を力強く肯定している。