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風景の鏡、身体の詩|うえだあやみ インタビュー

2023.09.28
INTERVIEW

うえだあやみ《遠くでひかる/視線のゆびさき #3》2021, 80.3×117cm, カンバス・油彩

現代アートの未来の一翼を担うべく、ホワイトストーンギャラリー銀座新館では、気鋭のアーティストたちによる『Group Exhibition of Gifted Artists:Dimensions II』を開催する。新たな才能発見と表出の機会であるとともに、複数の作家の作品が同一空間に存在することは鑑賞者のみならず、作家自身にも新たな視点をもたらすだろう。

本展では6人のアーティストたちの内なる世界に迫るべくインタビューを実施。同じ質問を投げかけることによって、彼らがなぜ現在の表現へと至ったのか、そして彼らの作品が映しだす現代社会とアートの関係を解き明かす。

揺らめく風景でうえだあやみが問いかける “身体を介した距離の探求”

Group Exhibition of Gifted Artists:Dimensions II

1. 制作を始めたきっかけ、そして今も続けている理由は?

ー絵を描くことが好きだったから。今も続けているのは、作品を作ることでしか得られない人とのコミュニケーションに救われるからです。

2. 自分自身が考える、あなたの作品の特徴は?

ーキャンバスの中で分割された画面と、全体を見たときにひとつの風景がズレ続けて定まりきらないイメージだと思います。

うえだあやみ《遠くでひかる/視線のゆびさき #4》2021, 100×80.5cm, カンバス・油彩

3. キービジュアル《遠くでひかる/視線のゆびさき #4》はどんな作品?

ー自分で撮った写真を見ながら繰り返しローイングを描き、そのあと油絵に向かいました。小さな画面への描写を繰り返しながら、大きな作品を作っています。

4. 影響を受けたアーティストや作品は? その魅力は?

ー小沢裕子さん、最果タヒさん。言葉と言葉を読む「私」との関係を丁寧に追う作品の世界観が好きです。

Group Exhibition of Gifted Artists:Dimensions II

5. あなたにとって「アート」とは?

ー人の心が豊かであるためにアートがあってほしいです。

6. 今回のグループ展に期待することは?

ー他の作家さんがどんな作品をつくられているのか気になります。

7. 今後の展望は?

ー最近は本が読めていないので読み進めたいと思っています。永井玲衣さんの「水中の哲学者たち」など、読むのが楽しみです。

うえだあやみ《遠くでひかる/視線のゆびさき #5》2021, 65.3× 52.8cm, カンバス・油彩

木々の葉をやさしく揺らす風、ガラスに反射してキラキラと目に入る太陽の光、耳をすませば聞こえる水の音。画面の情景を実にありありと鑑賞者に体感させるうえだあやみの作品は、明滅する風景で「私」の身体の輪郭を浮きあがらせ、そして波のように連れ去っていく。

『Group Exhibition of Gifted Artists:Dimensions II』は、2023年10月21日まで。ホワイトストーンギャラリー・オンラインストアでは同展覧会をいつでもオンラインでご覧いただけます。

展覧会詳細はこちら »

うえだあやみ
1995年京都府出身。2018年成安造形大学芸術学部芸術学科美術領域洋画コース卒業。2019年同大学研究生修了。2016年『京展80年記念展』、2017年第35回上野の森美術館大賞展入選。2023年SOMPO美術館『FACE展2023』森谷佳永審査員特別賞。滋賀と東京で個展を開催(2017、2021年)したほか、各地のグループ展に出展。「身体を介した距離の探求」が落とし込まれたうえだの絵画は、写真に撮られた風景から出発する。ガラスや鏡など反射構造を含む景色が多いのは、そこに映りこむ身体の輪郭が客観視されるため。「私」の意識から離れた身体の輪郭は、風景と溶け合い、他者の視線ともシンクロしながら、過ぎゆく時空の痕跡と化す。ネガフィルムのように瞼に焼きつく、言葉以前の情景の明滅。その視線は、今ここでない遠くを模索する。

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