中西悠月《眠らぬ臓器》2023, 73.0×91.0cm, カンバス・ペンキ

現代アートの未来の一翼を担うべく、ホワイトストーンギャラリー銀座新館では、気鋭のアーティストたちによる『Group Exhibition of Gifted Artists：Dimensions II』を開催する。新たな才能発見と表出の機会であるとともに、複数の作家の作品が同一空間に存在することは鑑賞者のみならず、作家自身にも新たな視点をもたらすだろう。

本展では6人のアーティストたちの内なる世界に迫るべくインタビューを実施。同じ質問を投げかけることによって、彼らがなぜ現在の表現へと至ったのか、そして彼らの作品が映しだす現代社会とアートの関係を解き明かす。

「アート」の作法、その固定観念を打ち破る

Group Exhibition of Gifted Artists：Dimensions II

1. 制作を始めたきっかけ、そして今も続けている理由は？

ー元々はイラストレーターになるために、中学生の頃にデッサンを学ぶことを入り口として美術の道に進み、高校時代は気づけばデザインではなく油絵の面白さに惹かれていました。制作を続けているなかで、「なにも筆で描く必要はない」「所属は油画科の括りではあるけれど、使う絵の具は油でなくてもいい」と、美術の初歩の部分で確立される常識を破ることができる自由さが、非常に楽しい部分だと思っています。

2. 自分自身が考える、あなたの作品の特徴は？

ー偶然によって生まれた、その色の流れる最も綺麗な瞬間を留めることです。

中西悠月《あたたかい潮の流れ》2023, 65.3×53.0cm, カンバス・ペンキ

3. キービジュアル《あたたかい潮の流れ》はどんな作品？

ー《あたたかい潮の流れ》は、海の黒潮と親潮をイメージして制作しました。潮に沿って泳ぐ魚の数々を想起することができるかと思います。海はとても広くて、神秘的で、訪れることでたくさんの精神的エネルギーをもたらしてくれます。個人的には、フェリーやクルージングで妙に気分が高揚したのが、記憶に新しい出来事です。明るくて綺麗な色彩の絵から海がもたらす活力を感じ、展示に足を運んでいただけたら嬉しいです。

4. 影響を受けたアーティストや作品は？ その魅力は？

ー白髪一雄です。画集になっても衰えぬ迫力のある筆跡、色づかい、作品の放つ雰囲気がとても好きです。それまで画集を見てドキドキした経験はありませんでしたが、あの日図書館で白髪一雄の画集を見た時に、体温が確かに上がったことを覚えています。

Group Exhibition of Gifted Artists：Dimensions II

5. あなたにとって「アート」とは？

ー物心ついた時から絵を描きつづけ、今では社会人としてイラストを描きつつ、画家として絵画に向き合う人生になりました。そんな私にとってのアートは、小さい頃に抱いた将来の夢の延長線上にありながらも、睡眠や食事・呼吸と同じ日常生活の一部と化しています。

6. 今回のグループ展に期待することは？

ー大学を卒業して以降、さまざまなタイプの作家の方とお話する機会がめっきりなくなったので、今回のグループ展でのインタビューや対面での会話で他の作家さんのお話をたくさん聞きたいなと思っております。

7. 今後の展望は？

ー将来的に海外で展示をしたり、他の作家さんの海外活動を観に行けたら良いなと思っています。今はアメリカの美術に一番興味があります。

中西悠月《清濁4》2023, 65.3×45.5cm, カンバス・ペンキ

偶発的な塗料の一瞬の生を画面に留める中西悠月のフルイドアート。その刹那的な美しさで観る者の目を捉えるとともに、そこから新たな時間軸が始まるような高揚感をもたらしてくれる。

『Group Exhibition of Gifted Artists：Dimensions II』は、2023年10月21日まで。ホワイトストーンギャラリー・オンラインストアでは同展覧会をいつでもオンラインでご覧いただけます。

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中西悠月《くいちがい》2023, 41.5×31.8cm, カンバス・ペンキ

中西悠月
2001年北海道生まれ。2022年東京造形大学美術学科絵画専攻卒業。2022年第24回三井不動産商業マネジメント・オフィースエキシビション出展。2023年『東京五美術大学連合卒業・終了制作展』（国立新美術館）出展。その時々でフィーリングに合った色彩を選び出し、絵の具がもつ流動性と偶発性を第一義に制作をおこなう。作品が完成すると不思議とタイトルが明確に浮かびあがるが、こうした即興的一発勝負に反映されるのは、日々のたゆみない芸術的投企が生む必然といえる。フルイドアートの可能性を提示するアーティスト。